道端に落ちている鉄屑やら、板切れやらが
妙に気になって、拾い集めだした。
何年か経って気がつけば
自宅のガレージは、廃品の山となっていた。
最初は絵の具で描いていた。
でも、自分の表現力より、
この廃品たちの表現力の方が、
ずっと自然で、力強いことに気づいた。
当たり前だけど…。
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『いらすとれいしょんーるうむ』
のコーナーへは、
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「受精」1991年
一つしかない鍵穴目がけて、無数の鍵が進んできます。その目前に赤錆色の鉄枠が、鍵達の侵入を強力に阻んでいます。鍵穴に入り込んで、鍵を開けられる者はいるのでしょうか?鍵達は顔面蒼白、鍵穴は真っ赤に、煮え立っています。
「発芽」1992年
緑の大地にしっかりと根を張った鉄やすりの先から、無数の種子が放出されています。やがて、その種子は大地に到達し、芽を出し始めました。たくさんの芽は、すくすく育ち、やがて、天に届く程に成長しました。黄金の昼と、紫の夜に育まれながら。
「別れ」1993年
アスファルトの路上に忘れ去られた手袋がひとつ。彼は、何度も、何度も、車に轢かれ、ダンプに轢かれ、こんな風体になってしまったのです。でも、今は、鉄枠の中に守られ、手をふり続けています。忘れ去られた、あの頃に帰るために。
ryutan 「潭」1992年
青緑の池の中に潜ってみました。そこには、鯉や鰻や亀やテレピアに混じって、いろいろな思い出も、沈んでいました。ひとり、ひとりの人生に関する、さまざまなモノが、深く、泥の中に埋まっていました。何十年、何百年の後、誰かに見つけてもらうために。
「夢の中」1994年
夢の中に迷い込んでしまった。そこは、無意識と、意識の臨界点。セピア色の映像は、どんな優秀な脚本家でも書けない、結末を用意していた。いや違う。さっき結末だと思っていた場所はもはや消え去り、全ての筋書きは、深い深い井戸の中に落っこちていった。

あれは夢だったのか、現実だったのか。けだるく響く、柱時計の鐘が26回鳴り続けていた。

tacco 「TACCO」1997年
子供の頃の冬休み、奴凧を上げた思い出がある。なかなか上がらなかった奴さんが、突然吹いた上昇気流に乗って、どんどん高く上がっていった。しばらくすると、電線にからんで取れなくなった。あの奴さんの悲し気な表情が今も、忘れられない。なんか、自分の人生に似ているなって。
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