Kiyoshi・KADE
キヨシ・カデ
キリのようにとがっていろ。
カミソリのように切れていろ。
彼の生きざまは
まさにカミソリそのものだ。
それも安全カミソリだからタチが悪い。
薄蒼緑のカウルに覆われ、
あたかも安パイの表情をしているが
いざ勝負となると
敵味方関係なく切って伐って斬りまくる。
尋常じゃない。
手加減を知らないんだ。
危なくてしょうがない。
敵にも味方にもしたくないヤツだ。
でも最近そんな猛者が減っている。
こんな世の中だから?
いや関係ない。
どんな世の中だって、
魂と魂がぶつかりあえば
傷もつけるしケガも負う。
そんなとっくの昔に忘れていた気持ちを
呼び覚まさせてくれる
どす黒いドブに映り込んだ
撚位の明星に出会った。
尖り過ぎて自分自身を切り刻むなよ。
それよりLike a rolling razor...
丸っこい錆びた刃先にはなるなよ。
過去の自分を思い出しながら
全然違う道へ歩き始めた彼に向けた言葉は
白い吐息とともにビルの谷間に消えた。
返ってくる言葉はたぶんこうだろう。
「そんなこと心配している暇はない」 |