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ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、 自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変わっているのを発見した。 彼は鎧のように固い背を下にして、仰向けに横たわっていた。 頭を少し持ち上げると、アーチのようにふくらんだ褐色の腹が見える。 腹の上には横に幾本かの筋がついていて、筋の部分はくぼんでいる。 腹のふくらんでいるところに掛かっている布団は今にもすっかりずり落ちそうになっていた。 たくさんの足が彼の目の前に頼りなげにぴくぴく動いていた。 胴体の大きさに比べて、足はひどく細かった・・・ |
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これはFranz Kafkaの変身という短編の冒頭である。
中学3年の頃だから、かれこれ20年近く前になるのではないだろうか。 昨日、一昨日のことはすっかり忘れてしまっているのに こんな昔読んだ小説の一説を今も忘れずに覚えているんだから、人間て不思議だ。 この変身というタイトルの立体作品は、この強烈な書き出しで始まる Kafkaを読んだ瞬間から、イメージの構築が始まった。 構想20年、製作15年。あまりにも長いイメージの旅だった。 この作品のための素材収集は15年前スーパーの地下倉庫からもらったダンボール箱から始まり 東京、イタリア、福岡、沖縄と、いろんな場所からさまざまなモノを集めた。 というより、いつの間にか集まっていた。と言ったほうがいいかもしれない。 ダンボールとウレタンで固め、透明テープでグルグル巻きにした胴体、 腹の部分は筋のくぼみをだすため、針金で縛りあげた。 胴体から前へ突出した頭部は、円形の天板に壊れたコウモリ傘をはりつけた。 胴体と頭部をつなぐ部分は、2001年夏のNHK衛星の番組中に回収した壊れた 自転車のボディを使用。その間をさまざまな場所から拾い集めた 無数の針金でつないだ。オープンリールの目、マフラーでつながった鼻と口、 卵から孵った幼虫、あるいはサナギから変体した成虫のように頭を擡げかけた。 グレゴールのようにまだ独立歩行はできないが、あと4、5年後には せめて独力で自立できるように改良していこうと思っている。 この物体に命が吹き込まれるまで 作品も自分も変身し続けるしかないだろう。 |
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「変身」
タテ3330mm×ヨコ1450mm×高さ3110mm 設営協力……沖縄タイムス社 |
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